老人ホーム選び ~レクリエーションについて聞いてみる~
本日は老人施設に見学に行った際にレクリエーションについて聞く意味を考察しお伝えしたいと思います。
レクリエーションは、一般的にストレートな考え方ですと余暇時間の充実と捉えられることが多いです。若い時は、自分の意思でどこにでも行くことができます。
時間やお金があればどこかに行くことができます。誰かに会いに行く。ショッピングに行く。電話する。スマホやインターネットを見る。
その時代なりに、自分で寂しさをうめたり時間を消費する方法が思い浮かべます。
しかし、忘れてはならないことがあります。
それらができるのは元気な足があるから自分の思った場所に自分を運んでくれるのです。
電話をすることができるのは、大切な人の声を届けてくれる耳があるからです。
ショッピングを楽しめるのは、素敵な商品を映してくれる目があるからです。
尊い家族を頭を撫でてあげることができるのは、あなたの思った通りに動く手や指があるからです。
誰かを抱きしめる為の腕。美味しいものを感じてくれる口。休むことなく動いてくれる心臓。老廃物を処理してくれる臓器。
それらあなたの部分部分は、常にあなたが特別に意識しないくとも勝手に動いてくれます。
それが当然と思い意識しないで自分への感謝を忘れ日常を過ごします。
しかし、それらが機能しなくなって気づくのです。
それらを持っていることがいかに尊いことだったのか。
年をとると誰もが機能が衰えてきます。
足は自分の思ったところに連れて行ってくれない。
耳は大切な人の声を届けてくれない。
目は美しかった世界を映し出してくれない。
大好きな人を抱きしめる腕は思うように動かない。
当たり前だったことが過去に変わります。
だから介護士がいるのです。微力ではありますが、あなたの目や耳・腕・足の替わりになるために日々努力します。
ですが、現実を見ると介護士の人数は決して人の思いを叶えるだけの人員がいるとは言えません。
奮闘しつつも、食事介護・入浴介護・排泄介護に仕事の大半を追われます。効率的な業務を組んで、十分とはいえない人数で介護をする日もあります。
ひとりひとりの利用者様は、部屋やベッドで過ごしていただく時間が多くなります。
価値観は人それぞれです。自分一人で過ごす事が好きな人ならばそれでいいのですが、人との交流に喜びを感じる人は暇を持て余します。
若い頃と違い自分の体は自由がが効きにくい。集団生活の中で施設内のルールを守らなければいけない。
そういった縛りから多少でも開放される気持ちになるのがレクリエーションの時間です。
肝心な事は人との交流の場に参加しようと思えば参加する事ができる。その選択ができるという事でしょう。
レクリエーションのストレートな意味とは、共通の目的を作り、他者との交流するか選択できるということでしょう。
誰しも一人では成り立ちえませんから、介護職員はできる限り交流の場の質を上げようとする努力が必要です。
一方で、もうひとつ目的があります。脱水予防です。集団生活で一堂に会してレクリエーションや食事を行うと、水分量の一括管理が非常に簡単です。
個別の部屋での飲食は摂取量(飲食をどの程度飲み食いしたか)の管理が非常に非効率的になります。
場合によっては、自己管理を名目に最初から行わない施設もあります。
年齢を重ねると、物忘れが激しくなったり(認知症)、健康の為とはいえ覚えておくのが面倒になることがよくます。
若くても自分が一日何ミリリットル飲み物を飲んだか覚えている方は少ないのではないでしょうか。
水分量の把握ができていないと、脱水になった時に気づきにくいです。専門家が唇や顔・排泄物などを見るとわかることもあるのですが、一定の経験やスキルが必要です。
脱水になっていることに気づかないと様々な弊害がでます。最大のリスクは脱水が進み過ぎると生命の危機が訪れます。
高齢での脱水は恐ろしく、脱水が進むと判断能力が低下し自分に水が必要だということも判断できなくなることがしばしば起こります。
物忘れ(認知症)が進行します。進行した認知症は、脱水状態を脱したとしても進行した認知症は元に戻らないことがよくあります。
心筋梗塞、脳梗塞、ふらつき(転倒)など本当に様々な病気の引き金を引くのが脱水です。
ですから、知識がある人は脱水をできるだけ予防するように工夫を施します。その工夫のひとつがレクリエーション中に水分を飲んでいただく事なのです。
レクリエーションがあるという事は、水分補給も一緒に職員が勧めている可能性が高まります。
しっかり健康管理をしてもらえる施設は、食事量と水分量の記録をとっています。
なぜ、量の把握をするかというと、生活を営み続ける事の根本基盤のひとつだからです。
施設見学の時に「レクリエーションやっておられます?」と一言聞いてみましょう。毎日やっているといいう回答があれば、その時に安否確認や水分補給を促しているとみて良いです。
ただし、レクリエーションの強制は、同調圧力によるハラスメントにあたる可能性があるので、参加・不参加を選択できるかも確認しましょう。
施設側にレクリエーションをやっていると回答されて、気をつけなければならない回答は、曜日固定で身体を動かす日や知恵を使う問題をする日などを決めている場合です。
レクリエーションは、介護職員にとっては悩みの種でもあります。
どんなレクリエーションで盛り上げようか毎日考えるのがしんどくなる日も多々あります。
ですから、曜日固定で最初にテーマを決めて施設側が用意したりすることもあります。この方法をとると、内容が硬直化していき盛り上がりに欠ける事が多くなります。
職員が利用者様の為にどうやって盛り上げようか悩むからこそ発展性が育まれます。パターナリズムに嵌ったレクリエーションの時間は、職員が楽をするあまり形骸化しやすいです。
レクリエーションを行っている施設でも内容が固定化されている場合は、あまりレクリエーションに力を入れている施設ではないと判断して差支えないです。
人との交流があまり好きではないという方は、レクリエーションについてあまり関心を持たなくてよいです。
ただし、レクリエーションをや¥行っている施設は、同時に脱水予防にも力を入れやすい施設状況になる力学が働くことも理解しておきましょう。
次回も施設選びシリーズ続けます。だんだん書いていて楽しくなって参りました。