老人ホーム選び ~ 老人保健施設⑨ ~

老人保健施設の人員基準

 

 看護師

 

看護師については、老人保健施設の特徴といっていいほど大きな項目です。

なぜなら、看護師の人数が多いからです。

入所定員100人未満の場合は、10人前後の看護師が在籍しています。

看護師約10人という人数は、施設の中では突出して多い人数です。

一般的な老人施設の看護師の配置基準人数は0人~1人です。

グループホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅には、看護師の必置基準がありません。看護師を施設に置こうが置いた看護師を0人にしようが施設の方針次第です。

特別養護老人ホーム・介護付き有料老人ホームは看護師1名以上(入所・入居者様の人数により配置人数が上がる)です。

※介護医療院は、老人保健施設より更に高い医師・看護師の配置基準です。介護医療院は、元々医療型老人保健施設介護療養型医療施設だったところがほとんどで、医療色が濃いので割愛いたします。

看護師の必置基準があると、それ以下の人数にへ基本的にできなくなるので、安心度は高まります。

その中でも、ほぼすべての施設で老人保健施設を上回る看護師の配置基準を求められる施設形態はありません。

それほど、高い医療が見込めるという事です。

 

施設で常勤の看護師が3人を超えると、施設医療における変革がおきる可能性が高まります。

常勤とは、1週間で平均5日・1日当たり8時間労働(週40時間)を行う人(夜勤やローテーション勤務でピッタリそうはならない場合、施設の規定で常勤の定義が異なる事があります)の事です。

 

看護師0人の施設の場合、ケアに医療的な知見を組み入れて生活を営む事は期待しない方が良いです。

介護系の経験で管理者になった人は、看護師やリハビリ職など他職種が混ざらず、介護職員だけで運用する方が職員のマネジメントは若干行いやすくなります。

一方で、介護職だけの組織文化では、介護職以外の知識や考え方が入りにくいので、体調管理や機能訓練のスキルアップは起きにくい土壌になります。

 

看護師1人の場合、看護師として業務している時間帯は、最大でも週5日間程度です。看護師がいない期間が1週間の内2日間は最低限あるということになります。

この場合、継続的な痰吸引や胃ろう・インスリン施注など毎日発生する医療を維持することは困難になります。毎日の医療サービスを利用者様は受けにくくなります。

また、看護師1人では看護師の経験した専門科以外は専門家の医師に所見から依頼する事になります。

医療の安定という側面ではまだまだ不安定です。

 

看護師が2人在籍している組織ではどのような看護師の動きになるかというと、2人とも最大週5日で日勤出社していたとしても、1週間を通して切れ目なく看護師を配置すると、看護師同士が直接会うのは1週間のうち3日だけ、残りの4日は1人勤務になります。

1人勤務が多い状態というのは、集団として統制がとることは難しい状態です。どちらかというと、お互いがお互いの仕事を否定しないように緩やかに調整する方が現実的な方法と言えます。

意見を交わしたとしても、理解納得・確認して行動する時間より、個人としての独自の判断で行動する時間の方が多くなります。

独自の判断を重んじなければならない空気感が、発展性の阻害要因になります。

 

真に切れ目ない医療と組織力を発揮できる最低人数は、常勤日勤専従看護師3人以上です。3人になると1週間を通して常に他の看護師と相談できる環境が整います。

できれば、4人・5人いると更に組織力が高まる人数になります。

ここで思い返すのは、老人保健施設以外の看護師の配置要件は0人~1人ということです。

0人~1人では医療的な発展・情報共有・組織力をくみ上げることを見込むことが困難です。

一方で、老人保健施設の看護師は最低10人前後の人数がいます(入所者100人に対して)。看護師の多様性を法律や実力で運用する医師もいます。

医療的な強さは様々な施設がある中でも群を抜いて高いといえるでしょう。