老人ホーム選び ~ 老人保健施設⑬ ~

老人保健施設(病院併設型)

 

 病院併設型老人保健施設とは、読んで字のごとく、病院の近く(同一敷地内)または同じ建物内に作られた老人保健施設です。

ここでいう病院は、入院できる病床(ベッド数)が20床以上のものを指す説明と思って下さい。病床19床以下の医院は診療所として区別させていただきます。

病院にはもともと医師がおり、看護師も多数在籍しています。複数診療科がある病院であれば医師・看護師の人数も飛躍的に増加していきます。

多くの病院では病院の大きさに応じて入院病床数も増加します。病院では治療が終了したら退院をすすめられます。病床数が多ければ多いほど退院者数も増加します。

退院者の中には、治療中に筋力が低下してしまい元生活していた場所に戻れない方もいらっしゃいます。また、入院が長引けば長引くほど診療報酬が減っていきますので、適宜退院をすすめる理由のひとつになります。

一方で、治療終了後も元生活していた場所に戻れない方が一定数でてきます。退院後元いた場所に戻れない方は、新しく生活できる場所を探さなければなりません。施設探しが始まります。

継続的な医療管理が必要な場合は、一般的な施設では受けにくい場合もあります。また、経済的に潤沢である保障もなく、金銭面で入所できないこともあります。

これを放っておくと、病院内に退院できない患者が溜まり、新しく患者様が入院できな状況が生まれる事でしょう。

こういった社会的な悪循環を解消する為に、老人保健施設を活用する仕組みを行政は作りました。

他施設にはない医療面で高度な人員基準、医師と多数の看護師を配置する、その代わり介護報酬は他施設より抜群に高いという施設形態の位置付け施設です。

自宅・施設の中継する施設として老人保健施設が位置付けられました。

 

病院はもともと医師・看護師が在籍ています。

老人保健施設を立てようとした時、ネックのひとつになるのが医師と看護師のマネジメントです。

もちろん、老人保健施設を設立するときに他の課題もあります。例えば、施設の建築や介護保険報酬への対応・職員集め・組織作りなどミッションは沢山あります。

しかし、他の事柄は似たような事を経験している人がある程度探せばいますし、努力したり調べてできない範疇ではありません。

医師・看護師については、仕事そのものが業務独占の為、新規事業発足にあたり独自色が強すぎ手を出しづらい面が強いです。

その面で病院の医師が老人保健施設を新規発足させるために尽力すれば、大きなハードルをひとつ下げることができます。

つまり、老人保健施設を発足するということは、医療に対するノウハウと権限がある人材が行うことが多いです。

病院が老人保健施設を発足するにあたって、親和性が高い業種といえるでしょう。

 

病院という基盤をもっており、退院者の行き先を決める上で老人保健施設を持っていた方がメリットが大きいです。

病院と老人保健施設は人員的な親和性も高く、病院が展開しやすい事業形態といえます。

次回は、病院が老人保健施設を開設する場合と老人保健施設単独で開設する場合では、どのような運営の違いが出やすいか寄稿致します。