老人ホーム選び ~ 特別養護老人ホーム③ ~

特別養護老人ホーム

 

入院時の退所要件に注意①

特別養護老人ホームは、依然として沢山の待機者がいる傾向が強い施設です。

長い順番待ちを経て、ようやく入所できたとしても退所を迫られることがありますので知っておきましょう。

退所を迫られる一番多い理由は1~3ヶ月以上病院へ入院する場合です。二番目に多い理由は、集団生活のトラブルです。

 

1~3ヶ月病院入院するとなぜ退所になるのか説明致します。

理由は、病院入院中は介護報酬が貰えないからです。

要介護3~5の方が集まるという事は、何らかの疾患を既にもって虚弱な状態で入所している方の割合が多いです。

高介護度の方たちは、要介護2以下の方たちより転倒(骨折)しやすかったり、皮膚トラブルを抱えていたり、慢性的な内臓の疾患を持っていたりする割合が高くなります。

施設の主な収入は、介護を実施する施設に介護保険で徴収した税金を介護報酬として回しています。施設収入の大部分が介護報酬です。

入所者様が入院すると、その間入院した方の介護は行わないので、介護報酬を貰えません。

1~3週間程度あれば、退院を待つ施設が多いのですが、何ヶ月にもなると施設経営に響く額になってきます。

一方で、入所したいという待機者はたくさんいる状況です。特別養護老人ホームのベッドを入院者の為に空けておくより、退所にして新しい方を入れた方が施設の減収が少なくてすみますし、待っている入所希望者も空きベットに入れて良いという考え方です。ですが、退所を余儀なくされる方の行き先の問題は残ります。次の居場所が決まるまで病院で入院が長くなり、病院のベッドをふさぎます。高介護度の方ですので、そのまま病院で看取りになることも多々あります。

退所になる方も、最初に契約を行った手前文句を言う事はできません。契約と言っても、契約時点で選択肢が他にある訳でもなく、料金が安くて高介護度の老人を受け入れてくれる施設の示す条件を拒否することは、入所できない事に繋がるので不利な条件でも受け入れざる負えません。

かくして施設は、退所の際に入所時の契約事項だということで、強制退所とします。

こういった事で困りやすい問題をおきる施設は、看取りの経験が少ない(行っていない)特別養護老人ホームに入所した場合が多いです。

人の老化を、虚弱→傷病→看取りと捉え、傷病が起こった瞬間さえ最後の時へ向かう一過程だと認識すれば、入院の原因になっている傷病も看取りの時期が近づいたのだと考えれるようになります。

(自制できない痛みを抑える方法がない場合や他者に害を及ぼす暴力や暴言が発生する場合などは別と考えます)

 

入所者がたくさんいる状況は、簡単に退所になっても施設が受けるダメージがほとんどない事は確かです。この状況は、地域の箱もの施設の数と入所希望者の人数の需要と供給のバランスが反転するまでは続くでしょう(地方では既に反転している場所もあります)。

 

こういった事情から、入所前に入院何ヶ月まで在籍できる規定になっているか、特別養護老人ホームに入所する前に確認しておくことが寛容です。

また、看取りを行っているのかも確認しましょう。特別養護老人ホームのすべてが看取り対応を行っていると考えるのは早計です。入所をすすめる家族(身元引受人)自身が看取りについてどう考えていのるかも重要になります。

退所要件の確認については、契約書または重要事項説明書にのっています。契約の段階になって知っても遅すぎますので、見学時や電話連絡などで早めに確認をとりましょう。

 

次回は政策的な回にします。筆者が考察する政策転換してほしい特別養護老人ホームの方向性ついて寄稿します。勿論、入院での強制退所事案が少なくなることもおりこんで寄稿致します。