老人ホーム選び ~ 特別養護老人ホーム④ ~

特別養護老人ホーム

 

入院時の退所要件に注意②

入院による強制退去を少なくする方法は、シンプルです。

解決方法は、特別養護老人ホームの基本介護報酬をおとし、看取りの介護報酬を減収した分の基本介護報酬を上回る形で全体の介護報酬を上昇させれば良いです。

ただし、看取りの介護報酬を上乗せさせるだけですと、故意に入所者様を看取りにもっていく倫理観が欠如した状況が生まれかねません。

特別養護老人ホームの経営安定性を2軸設けます。

ひとつは、長期入所者割合増加への介護報酬。

もうひとつは、ベッド回転数と看取り介護への介護報酬。

このふたつを片方でも施設存続が成り立つし、ベッド回転数と看取りの方によればやや介護報酬が上回るという仕組みにします。

行政は、どちらを重視すべき地域なのか人口動態の統計から施設が寄せるべき方向を介護報酬の偏りによってコントロールします。地域事情による特色が介護報酬に反映される仕組みですので、保険者の意見が必要になりますし、特別養護老人ホームの管轄が保険者に移行することも想定します。

この方法ですと、特別養護老人ホームに対する介護報酬の総量はさして変わりませんし、地域における長期入所が必要な時期なのか・看取り施設が必要な時期なのか・折衷の中道路線が必要なのかという地域ニーズをくみ取りフレキシブルに変化させることができます。

 

行政は、まだ団塊の世代の対応シフトのまま施設数を増やす方向の介護報酬を維持する姿勢で継続しています。日本の高齢人口の増大がクローズアップされ始めて50年以上経ちます。今50年間続けてきた課題対処への転換期が訪れています。

もう高齢者の人口そのものは増えないのです。高齢者人口はピークアウトし、今まで作った箱もの施設の改良に力を回す時を迎えています。

日本の老人福祉は、50年間続いた高齢人口増大への対応が、終わりの始まりの時代を迎えています。新しい方向の考え方が必要な時代になると認識すべき時期が到来しています。

(高齢者人口の増大は終わりを迎えていますが、少子化問題は終わっていません。労働生産人口の減少と高齢者を支える労働力世代が少ないアンバランス問題は続いています)

 

今現時点でとる施策は、特別養護老人ホームの役割を完全に終の住処として介護報酬上で位置づけることです。特別養護老人ホームには入所時から看取りの考えをもった入所者・家族が集まりやすいです。看取り前提の施設だと宣言しやすい状況を作り入所者を集める事で、看取りを考えない人は特別養護老人ホームとは別の選択肢を検討するようになります。

現時点での人口動態を考えると、まだ長期入所をある程度堅持しつつ看取りの回転が必要な地域が多いでしょう。

特別養護老人ホームから病院入院するという事態も緩和され、病院のベッドの回転も多少楽になります。

そもそも特別養護老人ホームには、現時点でも終の住処として捉えている人が多い土壌ですから、介護報酬の方向性をもう少し看取り側に寄せるだけで名実ともに簡単にそのような位置づけの施設になるでしょう。

今までより重介護の入所者が増加傾向になるでしょうから、特別養護老人ホームに往診する場合の診療報酬を少し上げ、地方の医師不足を緩和させるとともに、薬剤によるコントロール・看取りの際の診断に医師が関わりやすいよう促します。

施設側への施策として、重介護の入所者を回すために今より少し人員を多く配置させる必要がでてくるかもしれません。看護師または介護士の人員基準を少し厳しくし、介護報酬を上げるかまたは法人に対する人員付則をつけて税制優遇を更に強化します。

(現在のところ、ICTの活用やロボットの活用は有効な人員不足の解消方法になっていません。理由は、現場の技術者不足と倫理的な配慮への啓蒙不足です。パソコンやロボットの活用で楽になったらいいなという願望に近い施策です。継続的で大きな財政投資の実績がない段階で、願望に頼り人員不足解消をするべきという施策を走らせると現場が崩壊する可能性があります。ICTやロボットは未来の為にとっておくお試し施策です。)

特別養護老人ホームの改革は、少子高齢化・労働生産人口減少といった社会問題解決の一助になれる可能性を秘めています。その可能性は、今ある制度を少し変えればできるくらいの政策的にみれば小さなテコ入れで済みます。

 

最後に看取りを行う施設として特別養護老人ホームに上記の政策誘導した場合のメリットを書きます。

・入院する場合、退所へ追い込まれるリスクが低下する

・入院による介護難民が減少する

 (生産労働人口が微増する)

・病院のベッドが高齢者で埋まっている状態を緩和できる

 (高齢者が多い地方になればなるほど効果が期待できる)

・労働者世代が治療を受けやすい状況を作り、労働生産効率にプラス効果が期待できる

・他施設との役割分担の違いがよりユーザーにわかりやすくなる

老人ホーム選び ~ 特別養護老人ホーム③ ~

特別養護老人ホーム

 

入院時の退所要件に注意①

特別養護老人ホームは、依然として沢山の待機者がいる傾向が強い施設です。

長い順番待ちを経て、ようやく入所できたとしても退所を迫られることがありますので知っておきましょう。

退所を迫られる一番多い理由は1~3ヶ月以上病院へ入院する場合です。二番目に多い理由は、集団生活のトラブルです。

 

1~3ヶ月病院入院するとなぜ退所になるのか説明致します。

理由は、病院入院中は介護報酬が貰えないからです。

要介護3~5の方が集まるという事は、何らかの疾患を既にもって虚弱な状態で入所している方の割合が多いです。

高介護度の方たちは、要介護2以下の方たちより転倒(骨折)しやすかったり、皮膚トラブルを抱えていたり、慢性的な内臓の疾患を持っていたりする割合が高くなります。

施設の主な収入は、介護を実施する施設に介護保険で徴収した税金を介護報酬として回しています。施設収入の大部分が介護報酬です。

入所者様が入院すると、その間入院した方の介護は行わないので、介護報酬を貰えません。

1~3週間程度あれば、退院を待つ施設が多いのですが、何ヶ月にもなると施設経営に響く額になってきます。

一方で、入所したいという待機者はたくさんいる状況です。特別養護老人ホームのベッドを入院者の為に空けておくより、退所にして新しい方を入れた方が施設の減収が少なくてすみますし、待っている入所希望者も空きベットに入れて良いという考え方です。ですが、退所を余儀なくされる方の行き先の問題は残ります。次の居場所が決まるまで病院で入院が長くなり、病院のベッドをふさぎます。高介護度の方ですので、そのまま病院で看取りになることも多々あります。

退所になる方も、最初に契約を行った手前文句を言う事はできません。契約と言っても、契約時点で選択肢が他にある訳でもなく、料金が安くて高介護度の老人を受け入れてくれる施設の示す条件を拒否することは、入所できない事に繋がるので不利な条件でも受け入れざる負えません。

かくして施設は、退所の際に入所時の契約事項だということで、強制退所とします。

こういった事で困りやすい問題をおきる施設は、看取りの経験が少ない(行っていない)特別養護老人ホームに入所した場合が多いです。

人の老化を、虚弱→傷病→看取りと捉え、傷病が起こった瞬間さえ最後の時へ向かう一過程だと認識すれば、入院の原因になっている傷病も看取りの時期が近づいたのだと考えれるようになります。

(自制できない痛みを抑える方法がない場合や他者に害を及ぼす暴力や暴言が発生する場合などは別と考えます)

 

入所者がたくさんいる状況は、簡単に退所になっても施設が受けるダメージがほとんどない事は確かです。この状況は、地域の箱もの施設の数と入所希望者の人数の需要と供給のバランスが反転するまでは続くでしょう(地方では既に反転している場所もあります)。

 

こういった事情から、入所前に入院何ヶ月まで在籍できる規定になっているか、特別養護老人ホームに入所する前に確認しておくことが寛容です。

また、看取りを行っているのかも確認しましょう。特別養護老人ホームのすべてが看取り対応を行っていると考えるのは早計です。入所をすすめる家族(身元引受人)自身が看取りについてどう考えていのるかも重要になります。

退所要件の確認については、契約書または重要事項説明書にのっています。契約の段階になって知っても遅すぎますので、見学時や電話連絡などで早めに確認をとりましょう。

 

次回は政策的な回にします。筆者が考察する政策転換してほしい特別養護老人ホームの方向性ついて寄稿します。勿論、入院での強制退所事案が少なくなることもおりこんで寄稿致します。

老人ホーム選び ~ 特別養護老人ホーム② ~

特別養護老人ホーム

 

看取りを行う施設が多い

高介護度の方を受け入れる施設ですので、看取り対応を行う施設が多いです。

要介護度が上がれば病気や怪我などの原因で、体やこころが以前のようにいかなくなっているということも多くなります。

人によって寿命は異なるものの、要介護度が上がっていくことは、人が老化し最後の時を迎える生き物である以上仕方のない事です。

特別養護老人ホームは要介護3~5の方が集まっています。介護保険制度で一番高い介護度は要介護5の方です。要介護5から順次、要介護4→3→2→1→要支援2→要支援1→自立と介護量や介護にかかる時間にり大まかな介護度の順位がつけられています。

要介護3~5までの方は、介護認定上最上位に介護の時間が要すると判断できるとともに、最後の時が近づいてきているといえます。

そのような方々が入所の窓口に立つ特別養護老人ホームは、最後の時を迎えることが他の施設より多くなるのは当たり前のことです。

最後の時が近づくとどのような経路を辿るのかというと、大まかに3パターンを紹介致します。


代表的な3パターン

ⅰ. 病院に搬送され病院で看取られる

ⅱ. 老衰ではなく、何らかの原因で突然お亡くなりになる

ⅲ. 施設で老衰として看取られる

 

ⅰ.病院搬送

スタンダードな対応のひとつです。老衰として診断されるほとんどが、何らかの疾患により最後の時を迎えます。衰弱した状態は入院対象といえるでしょう。

 

ⅱ.突然お亡くなりになる

ある日ベッドを訪れると、こと切れているパターンです。事件性がないか警察が介入し、司法解剖が行われます。できれば避けたいパターンです。

 

※ⅰ・ⅱについて【特別養護老人ホームでは看取りを行うことが多い】を説明する文章として大まかに書いております。①・②の場合の詳細についてはこの章では割愛いたします。

 

ⅲ.施設で看取り

最後の時が近づいている入所者様が多いですので、自分の施設で看取ろうとする動きが起こることが多いです。例として次のような意見があがります。

・職員たちが目の前にいる人たちを介護していく中で、今の延長線上で生活すると、どこかで最後の時を迎える。

・今行っている介護も安らかなその時に向かっている。

・最後の時を目の前にして、住み慣れた場所で最後の時を迎えさせてあげたい。いろいろなところにたらいまわされるのは可哀そうだ。

尊い生命の最後の時に立ち会うことが、介護者としてもっとも尊いケアのひとつ。看取りにチャレンジしていこう。

・高介護度の人を受け入れる施設であれば、当然、そのような役割も求められるはず。社会的に求められることを行いたい。

・人の最後にふれるケアを行うことによってより質の高い経験を積みたい。

 

人の最後とは尊いものだという理想をもっている方が多いです。そう信じたいし、人生は尊いと自分自身も思いたいからでしょうか。

その尊い命の最後に立ちあう事ができやすい状況にあるのが特別養護老人ホームです。入所者様も最後の時が近づいてきている人が多いですので、家族のニーズとしても看取りを行ってくれれば助かると思う方が多いでしょう。

 

特別養護老人ホームに入所希望され、看取りまで考えている方は、下記の方法で確認しましょう。

特別養護老人ホームが看取り対応を行うかどうかは、施設の運営方針によりますので見学時に確認します。

電話問い合わせでも良いですが、話している相手のポジションも重要になります。せめて管理者や運営の人を電話口に呼び出しましょう。

また、介護サービス情報公表システムで施設を検索し、サービスから【看取り加算】を取得していたらほぼ間違いなく施設で看取りを行っています。

ただし、看取り加算をとっていないのに看取りを行っている施設もありますので、看取りを行っている施設かどうか気になるのであれば見学時に聞いてみるのが確実だと思います。

老人ホーム選び ~ 特別養護老人ホーム① ~

特別養護老人ホーム

 

特別養護老人ホームの特徴は概ね以下の通りです。

・要介護3以上の方が入所できる

・看取りを行っている施設が多い

・入院時の退所要件に注意

・費用負担が安い

 

また、特養養護老人ホームは昔から存在し、制度との間で問題点も抱えています。そちらについても説明を致します。※個人の経験に基づく私見です。私見であることを踏まえつつ参考にして下さい。

 

特徴

要介護3以上の方が入所できる

特別養護老人ホームは主に要介護3以上の方が入所できる施設です。

要介護2以下の方が入所することはほとんどありません。特例入所という方法で要介護2以下の方が入所することもありますが、あまりないことですので説明を割愛します。

入所申し込みは要介護2以下の介護認定でも可能です。

要介護3以上の介護度がでたらすぐに入所できるかというと、ほとんどの特別養護老人ホームが入所待機者がいますので、すぐに入所することが難しいことが多いです。

ほとんどの場合一定の期間入所待ちがあり、順番がきたら声がかかり入所になります。

つい最近まで入所待ち期間1年~3年という長い期間待たなければならない話しはザラにありました。

最近の傾向としては、少し緩和され、入所待機期間が長いかどうかは地域差があるという感覚になってきています。

地方になればなるほど、以前より入所待機期間が緩和されつつある傾向が強いと思います。

 

2025年に団塊の世代が本格的に後期高齢者になり、高齢者の人数がピークに達するまでに、日本中の施設の数を増やしてきました。

2025年問題と言われる高齢社会問題なのです。全国すべての世代別人口を平均した時に2025年に高齢者人口のピークがくるという話しです。

若者が多い都市部であれば2025年より何年も後に高齢人口のピークがきます。元々高齢者が多い地方では、何年も前に高齢者人口のピークは過ぎ去っています。

ピークアウトした地方では、これから人口減少問題が顕著に残っていきます。

団塊の世代ジュニアが後期高齢者になる2040年問題は、施設自体は立て終わっているので、働く人がいないという問題のウェートが大きくなります。

 

高齢者人口がピークアウトした地方にとっては、段々と「部屋はあるが、働く人が少なくて入所しにくい」という問題に移り変わってきています。

では、人がいない中、特別養護老人ホームはどうやって入所者を増やすか。これが徐々に地方で顕在化している問題です。介護者減の問題に対する特別養護老人ホームがだした答えは簡単です。介護量が少ない人を優先的に入所させて、介護量や問題行動が多い手間がかかると思われる入所希望者は入所しにくくします。

また、問題行動がある入所者は、問題行動又は集団生活に不適応をおこす認知症周辺症状に対応する職員数がいなければ、精神薬による対応が増加します(フィジカルロック(身体的な物理拘束)による抑制は倫理上論外として想定しません)。

厳密にいうと精神薬の過剰投与はドラッグロックという身体拘束にあたるのですが、過剰投与かどうかは、介護する人の人数によるという解釈です。

 

本当の自宅で生活している人は施設生活に慣れていないので、既に施設入所していて施設慣れしてる人の方が介護量が少ない傾向が高いです。入所時に集団生活ルールに適応していく必要がある方は、入所時の介護量が多くなりやすいので入所判定で入所OKの声がかかりにくいです。

反対に、施設で入所している高齢者の方が、集団生活慣れしている可能性が高く、施設慣れして手間が少ない傾向が強いので入所の声がかかりやすくなるでしょう。

既に地方ではこの傾向が出始めているのですが、問題視して声を発する人が少ないのが現状です。

大きな問題なのですが、問題点については特別養護老人ホームの別トピックスで説明致します。

 

地方では、特別養護老人ホームに入所するハードルが徐々に下がってきています。

都市部では相変わらず中々入所できません。都市部での入所状況についても、地域にある施設数と高齢者人口の需要と供給のバランス問題ですので、施設数が多い都市部については、入所しやすい地域も存在します。

ここでいう施設数とは、特別養護老人ホームだけではなく、老人保健施設サービス付き高齢者向け住宅養護老人ホームなどすべての老人施設を合わせた地域全体の部屋数のことを指してもちいています。

そういった都市部に住んでいるのでば、特別養護老人ホームへの入所待ち期間も比較的緩やかです。

老人ホーム選び ~ 老人保健施設⑲ ~

老人保健施設

~まとめ~

 

老人保健施設のまとめを書いていきます。

老人保健施設への入所はおすすめできる事業形態です。

 

おすすめできるポイント

・医師がいる

・看護師が他施設より多く医療が手厚い

・リハビリが期待できる

・利用料金が他施設より安い

・在宅復帰を真剣に応援・評価してくれる

 

知っておかなければならないポイント

・入所期間は3ヶ月~1年未満になることが多い

・夏季・冬季入所促進をすすめている施設が多い

・特定の老人施設と行ったり来たりするローテーション(回転)をしている施設がある

 (在宅と判定される施設へローテションする)

・在宅復帰を目指す施設形態である

 

デメリット

・基本的に長期入所は望めない

・薬代が高いと入所しにくい(入所できても3ヶ月程度で退所になりやすい)

介護保険の更新日が近く、要介護認定から要支援認定に変わることが予測される場合、要支援認定後の行き先がない入所希望者は入所しにくい

 

デメリットの説明

老人保健施設のデメリットは、長期入所できる施設ではない点です。短期で退所したいというニーズもありますが、長期入所か短期入所を選択できないという点はデメリットとしてカウントします。

もうひとつのデメリットとして知っておくべきことは、薬代(薬価)が高いと入所しにくいことです。先進的な治療薬やジェネリックが出ていない薬などで、重要疾患を安定させるために処方せざるおえない薬は、入所後も薬の整理がしにくいので入所が遠のきます。

薬価が高い場合、事前に3ヶ月間だけの入所希望を出し、入所前に処方を出している医師から限界期間処方してもらえるように依頼しましょう。そうすれば、多少なりとも入所しやすくなります。

要介護については、ある程度思った介護度を狙えます。ただ、これにはプロの見識が必要です。妥当な介護度と現状生活の維持の必要性の倫理観、介護保険認定内容をよく理解してきる必要があります。説明量が増えますので改めて介護保険認定の章を設けて説明致します。

 

おすすめの説明

例えば、施設の生活に慣れていない要介護1~2の方が、これからのことを考えて老人ホーム選びの際に約3ヶ月間だけと考えて老人保健施設を選ぶのは良い選択だと思います。

また、病院から退院するが、自宅へ帰れないという方が、一時的に老人保健施設に入所されることもおすすめできます。

病院に準ずる医療やケアを受けながら、次の施設を探すことができます。

完結におすすめをまとめましたが、高いパフォーマンスの医療・介護を実現する老人保健施設は、他施設より突出して充実しているといえます。

 

補足説明

老人保健施設は入所しにくいというサイトを散見しますが、そんなことはありません。

老人保健施設の特性をよく理解し、老人保健施設側がどのような入所者が適していると思っているのか、そこに向けて準備すれば入所しにくいタイプの入所希望者様でも入所事態はできます。

 

老人保健施設に入所しやすくするために

・薬が高いかどうか計算する

 (薬が高い場合は整理できる薬を整理)

 (入所時限界処方を持って行く)

 (薬の種類を減らす)

・夏季・冬季の繁忙期を避けて入所を目指す

・ローテーション(回転)をしていなか聞いてみる

 (施設入所を継続したい方向け)

・家族は丁寧な対応と施設の要請に真摯に答える対応をとる

 

老人保健施設は決して入所しにくい施設ではありません。適していると判断された人は何も準備しなくても入所できます。

もちろん、人気がある老人保健施設とそうではない老人保健施設がありますので、入所しやすい・入所しにくいに施設差はあるでしょう。

 

また、すべての老人保健施設がすべての入所希望者にあっているとはいいませんし、老人保健施設といえども施設の方針や従業員の働き方はさまざまですので、絶対大丈夫ということは書けません。

このことは、老人保健施設だけにいえることではなく、他施設についても同様といえます。

老人保健施設への入所は、数ある施設形態の中でもおすすめできる施設形態です。

 

老人保健施設の章は一旦終了にします。今後も追加したいことができましたら、ナンバリングを更新して加筆して参ります。

老人ホーム選び ~ 老人保健施設⑱ ~

老人保健施設

~病院併設の老人保健施設と単独の老人保健施設⑤~

 

今回は、単独型の老人保健施設の特徴になりやすいサービスである医療について書いて行きます。

入所定員100人未満の老人保健施設の場合、最低でも看護師が10人前後在籍しています。

看護師が10人前後いなければならないという入所者対看護師の人数比の人員配置基準は、老人施設の中では最も高い基準です。

更に医師・看護師を増員すると介護医療院や介護療養型老人保健施設という医療に特化した施設形態をとることも可能になるのですが、そこまでの人員配置基準のレベルを想定して書いて行きますと、老人保健施設の説明から脱線してしまいますので、今回は控えます。

老人保健施設を運営する限り、基本的に医師1人以上、看護師10人前後という基準を下回ることはできません。かなり手厚い医療が期待できるでしょう。

 

ここまでは、大まかに100人未満の老人保健施設には10人前後と看護師が必要と書いてきました。

この部分をもっと掘り下げて掘り下げて書いていきます。

正確に書くと入所者3名に対し、看護師か介護士1人以上必要です。入所者100人で考えると小数点を切り上げして看護師・介護士が全員で34人必要ということになります。

更に、最低限の34人で職員全員とし場合、看護師がその中で占める割合が最低限7分の2必要です。具体的な人数は9人です。

入所者が100人いた場合の内訳です。分かりやすく入所者様人数の対比を書くと、入所者50人だった場合は、半分の介護士13人・看護師5人です。

この人数でもかなり看護師が多いです。看護師5人必要となった場合、離職リスクを考えると最低限6~8人は看護師が在籍していないと安全に運営できません。

 

もう一点、看護師の特徴としては、基本的に老人保健施設の専従職員であることという規定がある事です。他の事業所との兼務は基本的に認められません。その上、常勤(週40時間労働→事業所独自のルールで常勤と定める時間数を上下できます)であることとされています。

1週間老人保健施設の看護師としてきっちり働く人として看護師を確保する必要があります(付則事項を使えばこの人員配置ルールを若干緩和することは可能です)。

これだけの医療の手厚さは、他の老人施設ではありえません。

他施設形態で10人看護師がいますといっても、それはただその時の事業所方針や成り行き上そうなっただけであって、未来に渡って確約するものではありません。

ところが、老人保健施設は法律の基準上10人前後の看護師が必要と定められているので、未来に渡ってこの人数比を確保し続ける義務が発生します。

人員基準を満たさなければ事業所にペナルティが発生します。これが人員基準に定められているかいないかの大きな差です。

 

老人保健施設は、看護師が非常に手厚い状況を続ける義務があることが売りポイントです。

老人保健施設でずっと働いていると、この状況が当たり前になり特徴であることを内部では忘れてしまいがちです。

もちろん、病院併設型の老人保健施設も同様の特徴を持っているのですが、病院併設型老人保健施設は、病院からの入所希望者である程度安定するのでこういった事を営業しなくても良い施設がほとんどです。

単独型の老人保健施設は、医師・看護師の人員基準があり、実際に他施設より手厚い24時間の医療が見込めることは事実です。

老人ホーム選び ~ 老人保健施設⑰ ~

老人保健施設

~病院併設の老人保健施設と単独の老人保健施設④~

 

単独で老人保健施設を立てた場合、リハビリは施設の特徴として位置づけやすいサービスになります。

老人保健施設においてリハビリがとても親和性の高いサービスに位置づけられる理由は、①医師の存在 ②入所希望者にリハビリニーズを持っている人が集まりやすい業態であることが理由に挙げられます。

 

theiaearth.hatenablog.com

 

本日は、老人保健施設のリハビリにおいて医師がいるとなぜ親和性が向上するのか寄稿致します。

 

 

老人保健施設は、在宅復帰の為の中間施設として位置づけられています。入所期間も概ね3ヶ月~12ヶ月未満で退所になる方がほとんどです。

老人保健施設で提供する主なサービスは、ケア・医療・リハビリです。老人保健施設で退所まで過ごしたとしても、在宅でサービスが必要になる場合が多いです。

在宅に帰った時にどのようなサービスが必要になるかはそれぞれの利用者様次第になりますが、老人保健施設からの退所者は、在宅でもリハビリを継続したいと望まれる方が一定数以上いらっしゃます。

なぜかというと、老人保健施設でリハビリが必要だと擦りこまれるからです。リハビリに特化した老人保健施設で過ごした方であればあるほど、その後のリハビリ継続の意欲は高まる傾向が強いと感じます。

実際、リハビリをしていた方が、リハビリをしないよりもより高い状態で在宅生活を送れる可能性が高まりますし良い事だと感じます。

 

老人保健施設は、在宅復帰後のリハビリを見越して訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションを併設させることが多いです。

むしろ、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション老人保健施設のパッケージとしての色濃い意味合いで行政が位置づけたといっても過言ではありません。

なぜなら、両リハビリテーション事業所の人員基準に医師をが必要だからです。

医師が人員基準に必要な老人施設は、介護医療院と(介護療養型)老人保健施設だけです。介護医療院は、2018年に始まったばかりで、しかも前提として主に老人保健施設が転換を求められた施設です。介護医療院は老人施設というよりも、元から医療の側面が強い医療施設として捉えられることもあります。

実質、施設系で医師の人員配置基準がある老人施設は、老人保健施設だけといえます。

一方で、在宅で訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションは医師の人員基準があります。

つまり、最初の制度設計の時点で老人保健施設は訪問・通所リハビリテーションも併設してください、併設しやすいですよと設計されているのです。後は診療所や町のクリニックが併設する程度でしょうか。

医師がいないと開設できない老人保健施設・訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションは、老人保健施設を設立したらリハビリテーションをパッケージに組み入れやすいようになっています。

そして、訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションリハビリテーション計画書を作成する時は、医師の意見書が必要になります。

老人保健施設の医師でなくとも意見書を書けるのですが、自施設に医師がいて高位の役職者である場合、リハビリテーション計画書を通して医師は職員を指導・マネジメントしやすいです。

利用者様にとっても、老人保健施設と在宅リハビリテーションを一貫して行ってもらえるのであれば、安心・安全度が高いと感じるでしょう。

 

医師が運営していると看護師をマネジメントしやすい上に、リハビリ職もマネジメントしやすい。医師が人員基準に含まれる老人保健施設は、利用者様にとってとても安全な可能性が高い施設といえるでしょう。

筆者としても、初めて施設に入所するのであれば老人保健施設はおすすめです。

ただし、すべての老人保健施設が高いコンプライアンスをもっていることを保証するわけではないのであしからず。