福祉施設のコロナ禍の現実

 こんにちは、Theiaearth(ゼイアース)です。私は入所系福祉施設の運営に多少関わっております。そんな私からみたコロナ禍における福祉施設の現実をお伝えしたいと思います。気持ちが入り過ぎて書き過ぎないように注意しながらブログを書きます。

 一言で伝えるなら「非常に辛い」現状です。コロナの利用者様・職員がでると、罹患者の体調悪化を懸念しなければなりません。ただ、オミクロン株の場合多くの場合が命にかかわるところまでいきません。前提として、施設全体での防疫対策や罹患した場合の重症化悪化措置に全力を注いでおります。医療のひっ迫が起こるので、重症にならないとまず入院はさせてもらえません。コロナ患者を集団生活の中で隔離しながら24時間の介護を実践する事になります。いくら隔離しても、感染対策を行っても、感染力が強いので感染リスクが高い状況で介護士が介護を行う事になります。介護者の感染リスクは尋常ではありません。元々、人材難の業種ですから、24時間専属職員をコロナ感染者につけるというのは困難です。交代でコロナ感染者に職員が対応せざるおえません。行政や他施設からスタッフが回るという制度がありますが、施設の内情や利用者の顔、物品の位置からレクチャースタートになる上、短期ヘルプにきているお客様職員に気を使い戦力として考えるには難しい状況です。そもそも、コロナがでたときにだけ、来るか来ないかもわからない短期ヘルプ職員をあてにできません。はっきり言って頭数だけ揃ったことになる制度です。施設でコロナ患者がでたら、排菌期間内に職員や他利用者に感染が起こる可能性が高いと思った方が妥当です。特に職員が感染すると、最低8日程度休まなければならなくなります。制度を正確に実施すると濃厚接触でも最低3日(最初の1日目は0日目と判定される)間休まなければなりません。利用者様が24時間生活しているのに、入浴を対応する職員、オムツを交換する職員、ご飯を準備したり食べていただく介助をする職員が不足します。たった4日間であったとしても、1日~2日壊滅的な日があるだけで、取り返しのつかないダメージをおう利用者様もいらっしゃいます。コロナになった利用者様も体調の心配はあるのですが、現行制度によって引き起こされる介護崩壊はもっと恐ろしい結果を引き起こすことがあります。

 そのような緊張感の中、福祉施設のスタッフはコロナに感染しないように、日常から気をつけて生活を送っています。友達と遊ばず、家族とも別に食事をとる職員もいます、休みの日は一日中だれとも会わずに家に引きこもっている職員も存在します。なぜそこまでするかというと、基本的に誰かに寄り添いたい、助けたいと志を持った職員が、自分がコロナにかかったせいで、大好きな利用者が住む施設でクラスターを起こすのが怖いからです。そんな心優しい職員が、誰の目にもとまらず、気づいてもらえず、鬱病にかかり退職を余儀なくされたケースもあります。施設の中のコロナ過の緊張感は、コロナ第1波の時のような緊張感が続いていてもしかたない状況です。他方、社会全体の動きはどうでしょうか。withコロナ。経済を回せ。コロナに感染するのは仕方がない。コロナは大したことがない。この空気が非常に強くなっています。良い事だと思います。経済を回すことに理解がきます。ただし、医療現場でもなく、一般社会と同じでもない高齢者施設は、制度と制度の狭間に落とされているのが現状です。誰か助けてください。医療ひっ迫で、医療現場が大変だ。保健所業務がパンクしている。そこに準じて恐ろしい現実が起こっているのに、問題に光が当てられず常に小さく扱われているのが福祉現場です。福祉をする人たちは、誰かに寄り添おうという志の方が多く、窓口がわからない問題に対して声を積極的に上げる方が少ない傾向にあります。同調圧力が強ければ、声を上げず。目の前で福祉現場崩壊を引きお越されていても、自分の力が足りないせいだと自責する職員が多いです。医療崩壊を防げ。保健所業務の軽減を。といったことと同量のパワーで声をあげることができず、2次的な問題だと思い声が大きくなりません。現実で起こっているのは、制度の狭間で壊れる利用者の生活です。コロナによる体調悪化ではなく、クラスターによっておこる生活基盤の崩壊と間接的な死(体調悪化)です。

 福祉現場は、医療と並び突出してリスクが高いです。であるにも関わらず、濃厚接触者でもPCR検査を受けられない。入院も中々させてもらえないという、一般社会の制度がそのまま適用されています。今、コロナ禍が形成した新しい社会から切り捨てられていっています。補助金制度はありがたい、ですが、本質的な助けにはなっていません。withコロナの中で、福祉は制度の狭間に立たされています。声を大にして伝えたい。助けてほしい、切り捨てないでほしい、withコロナの社会で共生させてほしい。最後に、この崩壊する福祉現場で、目の前の利用者様の命守る為に日々奮闘している福祉現場の方たちに感謝を送ります。