老人ホーム選び ~配慮とコスト意識

 本日は、利用者様への配慮とコスト意識のバランスを施設見学時にどう観察するかについて書いていきます。

 

 結論から書くと電灯を見てください。

施設にとって施設を運営継続するのは固定費との戦いです。固定費とは人件費・水光熱費・食材費など毎日・毎月決まってかかる費用です。

どう固定費を削減するかが経営にとって重要なポイントになります。一般企業と感覚的には同じに感じられるのですが、経営状況が違うポイントがあります。

違うポイントとは、物販やIT・人材業などの仕事は、売れば売る程利益が上がります。そして、売上から経費を差し引くと最終的な利益が残ります。

売上を沢山上げて、経費をできるだけ少なくすることで会社が発展します。生産業という仕事は、売り上げががんばればがんばるほど青天井に増えます。

しかし、福祉施設は最初に初期投資をし建物を立てます。建設した建物に入居者(利用者)が入ってきて売上が上がります。

最初に建てた建物(箱もの)は、部屋数がきまっておりそうそう拡張できません。つまり、起業して施設を設計した時点で既に売上の限界値がほぼ決まっています。

一度利用者様が入ってきて黒字化してしまえば、当面は固定収入が望めます。営業力への労力が、利用者様が安定しだすと減少します。

ただし、それ以上施設の収入が増えることはありません。すると、利益追求主義の経営者がとる行動は経費を削減することになります。

その追及が利用者様の生活に微妙に不便をかけることが起こりえるのです。生活の場とは24時間のこと、慣れてしまうと異常なことでも感じにくくなってしまいます。

利用者様も職員も異常を異常と感じなくなり、実は異常な状態で慣れてしまい日常生活を送ったり支えたりするようになります。

施設の日常をを知らないからこそ、パッと見学に来た人が違和感を検知する事があります。

その直感を言語化して、自分自身で認識できるようにすることが見学の重要性です。その判断軸の一つとして、すぐにキャッチしやすいのが電灯です。

  • 電灯

 利用者様の利用する空間の電灯が飛ばし飛ばし電灯を消している施設は注意が必要です。

電気料金対策で電灯を切っている施設もあるのですが、コスト意識が高すぎて危険な可能性が高まります。

光とは、居心地の良さという観点では非常に重要な要素です。

利用者様のいる空間をコストダウン対象にしていること事態が、利用者様ファーストでない証拠のようなものです。

見当識障害や高次脳機能障害、幻覚・妄想といった疾患の中には、光の調節が重要な役割を果たすこともあります。

利用者様の空間をランニングコストだと捉え節約する施設は、コスト意識が高すぎるといえるでしょう。

そのコスト意識は、見学者にわかりやすく電灯ということに表れているだけで、他の部分でも利用者様の生活より経費節減ファーストになっている可能性が高まります。

それは、一般的かつ妥当な範囲を超えて、日常生活に必要な生活用品を利用者様に請求していたり、お菓子や食材を少し減らしたり。端々に経費節減が起こっていると受け取ってよいでしょう。

目には見えにくい部分で、利用者様の生活を侵食する形の経費節減を企図する施設な可能性があります。

家庭と違い、施設に入ると共用部分の水光熱費は利用者様が払っています。もちろん食費も何もかも。

家庭であるなら水光熱費の節約は理解できるのですが、施設は契約に基づき快適で安全なサービスを提供する約束しています。

ですので、利用者様の生活に関わる可能性がある形で経費節減をする施設は、感覚が狂っていると判断しましょう。

 施設見学に行った時、電灯がきちんと全部点灯しているか。照明の暗さを感じないか。夏や冬であれば暑さ寒さを感じない施設内温度か。

生活の場での経費節減は、慣れてしまっては異常を感じにくくなることが多いのですが、一見さんとして見学した時に違和感に触れてくるものがあります。

照明・温度もチェックしましょう。

 次回はレクリエーションについて聞いてみる、を書いていきます。次回も宜しくお願い致します。