福祉施設の見学前に知っておきたいこと

 前回は、見学に対する重要性と介護施設をどうやって探すかをとりあげさせていただきました。実際に終の住処になるかもしれない場所です。そして、その場所で身体が動けなくなった時、コミュニケーションが思うようにとれなくなった時、病気で苦しい思いをしている時、元気な状態ではないときに頼れるのは、そこにいる施設職員や施設の運営方針です。自分では身の回りのこともなすすべがなくなった時に、頼れる施設になりえるのか、しっかり見定めましょう。実際に、見学に行って自分(家族)の未来を託せる相手なの感じとりましょう。

 実際に、見学に行く前に知っておくことがあります。予備知識がなければ見学時のイメージの大半は、見学対応職員の態度と従業員の挨拶(笑顔)によって形成されるという事です。例えば、店員から商品から物を買う時やレストランで何か食べたりする時などと同じです。商品について詳しすぎるほど事前知識を持っていなければ、商品の良し悪しがわからず、感じの良い店員から商品を買ったことに満足感を覚えるでしょう。消耗品や代替えの効く商品を買う時は、ある意味これで満足を得るというのは正しい行動だと思います。ただし、老人ホームはその後の人生全てがかかってくる重要過ぎる判断です。

 見学対応職員も見学者対応についての訓練を受けています。働いている方たちも、お客様が来た時の対応について厳しく研修を受けていることが多いです。もしも、見学対応者や働いている職員があなたを不快にさせ、挨拶もないようではその施設は論外です。しかし、見えやすい、感じられやすい事は事前にできるように教育されていて当たり前なのです。対応職員が気持ちよい態度をとっている、とか、職員が笑顔で挨拶をするという事は最低限度であり、加点される要素ではありません。むしろ、惑わされないように本質に近い日常から滲み出る部分を観察します。例えば、見学時に対応した施設長や管理者が感じの良い方だった。信頼のおける方だったとしても、施設長や管理者は、実質他の職務を兼務している事も多々あります。見学時の対応は良かったが、実際は、介護現場にほとんど関わっていなかったり、普段他の場所にいたりすることもあります。見学対応者のイメージは実際の老人ホームでの生活とは直結しないと考えておいた方が無難です。見学時に表面上のことに惑わされることなく、実際に見るべきポイントをおさえて行きましょう。

 次回から、実際に見るべきポイントを連載していきます。宜しくお願い致します。