老人ホーム選び ~ 医療行為⑧-3 介護支援専門員が管理者の場合の安定度 ~

 介護支援専門員が管理者であった場合の施設医療依存度の継続性について本日も寄稿致します。

 

 介護支援専門員の資格を取得する為には、介護福祉士社会福祉士・看護師などの基礎資格を持ったうえで、それぞれの現場で5年間の実務経験を必要とします(他のルートもありますがほとんどがこの5年間の実務経験のルートを辿ります)。

その中で最も多いのは介護福祉士のルートで介護支援専門員になる人たちです。

介護現場の多くの人たちはがたどる人はどのようなルートかというと

 

①3年以上の介護の実務経験を積み、かつ、介護福祉士実務者研修を修了

介護福祉士の国家試験に合格する

介護福祉士の資格を有し5年以上の実務経験を積む

⑤介護支援専門員の筆記テストに合格する

⑥介護支援専門員実務者研修を修了する

 

以上が、介護現場から介護支援専門員になる最も多いルートです。

未経験から最短でも8年間介護現場で経験を積み、介護支援専門員を取得する方が最も多いです。

介護支援専門員の管理者にとってこの8年間の内容が重要なのです。

8年間介護現場だけの経験をして、介護支援専門員を取得することが多く、それだけでは施設管理者としての適性が育っていないことが多いです。

なぜならば、経験とは長さではなく質だからです。

施設運営は、介護現場だけで動いている訳ではありません。介護現場業務以外の人々が生活する上で必須な仕事が沢山あります。

主になっているのは介護なのですが、例えば食材を発注して食事を作ったり、水道が壊れて修理したり、入居や退居を管理したり、職員同士の仲が不調になり介入したり、休みの職員の代替え職員を用意・採用したり、時には組織にとって不利益をもたらす職員に退職勧奨をしたりなどなど、人が生活する為にたくさんの業務が発生しています。

それらのたくさんの介護以外の業務があり入居者様が生活するということが成り立っています。

介護支援専門員を取得するまでの間、介護業務しか行っていない状態で8年間過ごしても、介護支援専門員を取得した時は介護業務しか分からない状態です。

 

 介護世界の介護支援専門員の出発点は、このような介護士ルートで育った方が圧倒的に多い状態ですので、この時点で管理者の適性が育っているとは言い難いです。

まして、医療の存続性を担保する為に自分の仕事を創造することができるわけがありません。

また、介護の仕事自体が他業界で上手く行かずセカンドキャリアとして中年になってから求職する方が多い世界です。

40歳を過ぎて8年間介護のみにどっぷり入り込んだ人材が、介護支援専門員を取得して管理者になったとしても、介護支援専門員の仕事を覚え、管理者の仕事に適応できた後には60歳が近い年齢になっています。

60歳から管理者としてチャレンジするようなことができるかというと、そういった人材は少ないです。

20代で介護支援専門員を取得できる若い介護職員は少ないですが、できたとしても、大切な20代を介護士の仕事のみで過ごすことはもったいないと思います。

20代でいろいろな事にチャレンジしたからこそ、最も吸収できる年齢で伸びる事ができます。

つまり、介護支援専門員ルートで管理者になった場合、介護支援専門員の前のルートが介護士である限り、経験できるトラブル処理が限られている為、医師・看護師・社会福祉士ルートで管理者になる人より引き出しが少ないというのが実情です。