老人ホーム選び ~ 老人保健施設⑤ ~

老人保健施設に入所する為の事前知識

~ ローテーション ~

 

前回は老人保健施設で行われるローテーション(回転)の大まかな仕組みを説明しました。

例で出したのは、2人1組にして行われる基本の仕組みをご紹介いたしました。

実際は2人1組で行われることは少ないです。

それは、3ヶ月に1回という移動コストを家族・両施設が負わなければならなくなるデメリットがあることが1つ。

本人にとっても環境変化が目まぐるしすぎるという点がもう1つの理由です。

2人1組で説明しましたのは、ローテション(回転)を簡単に理解する為に最低限の仕様で仕組みで説明を行いました。

 

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実際は、4人1組や5人1組くらいで実施される事が多いです。

老人保健施設が受け取れる介護報酬上は、年間を通して何人の入所者に対して何人が在宅復帰を果たしたかで計算されています。これを在宅復帰ポイントといいます。

老人保健施設にとって在宅復帰ポイントを上昇させることは、施設の収入面で大きな一要素になります。

逆を言うと、老人保健施設全体で一定以上の在宅復帰ポイントを確保できる仕組みがあれば、残っている他の入所者様は長く入所することが可能という事です。

とはいえ、長く入所する人が増えると、老人保健施設にとっては入所者が滞留する由々しき事態になりかねないので限界はあると考えましょう。

 

4人1組で老人保健施設と在宅復帰扱いになる施設で1部屋を確保する約束を交わしたとします。

老人保健施設は、4人を順番に退所後在宅復帰扱いになる施設へ退所してもらったとすると、3ヶ月で一人目入所者様Aさんが在宅復帰施設扱いになる施設へ行き、3ヶ月がきたらAさんは老人保健施設へ帰り、次の入所者Bさんが在宅復帰扱いの施設に行きます。

また次の3ヶ月がきたらcさんが在宅復帰扱いの施設に入所、Bさんは老人保健施設へ帰ります。

同様に次の3ヶ月がきたらDさんが老人保健施設から在宅復帰扱いの施設へ行きます。

Dさんが3ヶ月で帰ってくると最初のAさんの番に戻ります。

そうするとAさんは老人保健施設で9ヶ月過ごすことができます。

1部屋に対して5人1組にしているとAさんは12ヶ月(1年)老人保健施設にいることになります。

何人もで順番を組んでいるので、この仕組みをローテーション(ローテ)と言ったりします。

老人保健施設側も状態をよく知った利用者様が増えてケアしやすくなったり、運営がしやすくなるというメリットもあります。

こうして、老人保健施設は一定の在宅復帰ポイントを確保する事で、施設運営に余裕が生まれより弾力的な施設運営を行う事ができます。

 

この仕組みに適応性が高い入所者様は、認知症が軽度の比較的環境適応能力が高い方が向いていると言えます。

では、入所者様・ご家族様のメリットは何なのでしょうか。

ローテーション(回転)に入所者様やご家族様のメリットがないと、行っていることがとても非人道的で機械的な事になります。

入所者様・ご家族様にメリットがあるからこそローテーション(回転)は成立するのです。

次回は、入所者様・ご家族様の視点から見たローテーション(回転)を寄稿致します。