老人ホーム選び ~ 老人保健施設⑩ ~
老人保健施設の人員基準
支援相談員①
老人保健施設の特徴と言えるのが、有能な支援相談員(以下相談員と表記)が育ちやすいという土壌です。
相談員の仕事は、元々これだという業務が策定されていません。
法的な老人保健施設の相談員の仕事の定義はあるのですが、相談員の仕事は多岐に渡るのが一般的です。ちなみに法律で定められた支援相談員の仕事は下記の通りです。
①入所者及び家族の処遇上の相談
②レクリエーション等の計画、指導
③市町村との連携
④ボランティアの指導
ということになっています。
ただ、この①~④の内容だけで仕事をしている相談員はまず見たことがありません。
誰の仕事かはっきりしないことを上司が相談員に依頼する事が多いです。
施設長の右腕として相談員が仕事を差配しているのをよく見かけます。
大きな施設になると総務課のような部署が生まれ、誰の仕事かはっきりしない事は総務課に回される事が多いのですが、中規模以下の施設だったり、発足して年数がたっていない施設は誰の仕事かわからないグレーな仕事は相談員に回されやすいです。
施設の上位権限者は、誰の仕事かわからなくても問題解決を迫られます。誰の仕事かわからないグレーな部分を全て上位権限者が一元的に行っていては、施設のマネジメントに支障がでます。
誰の仕事かわからないグレーな仕事を受けてくれる人が必要になります。介護支援専門員はケアプランを回す専門職。看護師は医療関係の仕事を回す人。介護士は現場を回す。理学療法士はリハビリ担当。
消去法で各職種を見ていくと、施設の上位権限者の雑事をこなしてくれる人は、相談員くらいになります。
雑事を任せているうちに、微妙な関係調整が発生する仕事を受けてくれる相談員の存在が重宝することに気がつきます。
そのうち上位権限者の代理執行のようなポジションに誰かいてくれれば助かると考えたとき、相談員が関係調整を仕事と位置付けられることが多いです。
もちろん、多職種であっても相談員以上に関係調整の仕事ができる人がいれば任せたくなるのですが、多職種には自分の専門分野が既に割り振られています。その専門分野プラスアルファでグレーな仕事を依頼するかどうかは考え方次第でしょう。
消去法でグレーな任務を受けやすいということは、重要な事です。
なぜなら、上位権限者になる程現場に入る率が減り、細かな仕事の段取りに気付きにくくなっていきます。
机上の空論やこうあるべきという論で仕事を組み立てる傾向が強くなります。
各職種の全ての仕事の段取りが分からない以上、分からないことそのものを受けてもらえる職種が欲しくなるのです。それが相談員です。消去法で相談員を選ぶのは、合理的な論理で組み立てた結果です。