老人ホーム選び ~ 老人保健施設⑭ ~

老人保健施設

~病院併設の老人保健施設と単独の老人保健施設①~

 

 もともと病院を経営していて、後から老人保健施設を立てた場合と何もないところから単独で老人保健施設を立てる場合では、設立の違いから違った特色になりやすいです。

その違いは、【集客方法】に起因した違いが特色として変化がでるといえます。

 

病院併設型の老人保健施設は、病院を持っている老人保健施設を意味します。

まず簡単に病院の説明をします。病院は入院ができます。誰が入院を決める権限が強いかというと医師です。

本人様でも家族様でもありません。入院に対する権限が濃淡で表せるとしたら、一番濃い権限を持っているのは医師です。

病院には、入院用のベッドがあります。入院用のベッドが空きっぱなしでは、病院経営が存続しません。

病院経営を存続させるために、ある程度のベッドを使用し続けていかなければなりません。

例えば、患者様がみな病状が落ち着いていてベッド稼働率0%の状態にできるかというと、答えはNOです。

ベッド稼働率が低いと病院は潰れてしまいます。

同じような病状であっても、ベッド稼働率によって入院を勧められたり、その反対に入院を拒まれたりすることはよくあります。

病院経営の大きな仕事のひとつにベッド稼働率コントロールがあります。

患者様も医師に入院の必要があると言われれば、入院した方が良いと思うのが当たり前です。

もちろん、患者様の意思も介在しますし、医師がひとりで100%決めれる訳ではないのですが、医師に勧めれれば入院という言葉がこころに落とし込まれやすいです。

経営に敏感な病院程、ベッド稼働率100%にこだわっているでしょう。

高齢になればなるほど、仕事でお金を稼いでいる確立が低下しますので、自由が効きやすく医師に勧められると一旦入院を選ばれる方が増えます。

入院中は、食費や水光熱費も自宅生活より心配が大幅に減りますし、移動制限はあるものの安全性と快適性が高いです。

傷病による緊急度はありますが、ベッドが空いている時は入院に対するハードルが低くなります。複数の患者様に医師が入院を勧めれば、ベッドは埋まりやすくなります。

特に高齢になると疾患を持つ方や体力が低下する方が増えます。健康管理や検査の為に入院をすすめていくことは、他の年齢層より比較的たやすいといえます。

介護が必要な方であれば、老人保健施設を同一敷地内の同一法人で運営していれば、老人保健施設のベッドに空きがある場合そのまま入所をすすめることも可能です。

老人保健施設としても営業(施設がベッドを埋める為の行為)努力にかけるコストが大幅にダウンしますので、かみ合わせが良いです。

病院から老人保健施設に入所する方も入所料金も安く、リハビリがついており、病院に準じて医療的に手厚く情報も病院から提供されるのでメリットが大きいです。

老人施設は両輪で回っています。1つは人材、職員の数と質です。もう1つは入所者です。ともに施設運営をしていく上で頭を悩ませる大きな事柄です。

病院併設型の老人保健施設はその片輪である入所者について、大きなアドバンテージを得られる組み合わせです。

もちろん、もう一方の人材面でも医師・看護師のノウハウが蓄積されている分アドバンテージがあるといえます。

 

つまり、病院併設型の老人保健施設は、入所者を増やすという面において既に売りポイントを持っています。

単独型の老人保健施設にはない売りポイントです。単独型の老人保健施設は、入院から入所の流れをもっていないので(診療所規模ではこの流れを確立できるとはいえません)、別に施設の売りポイントを探す必要があります。

病院併設型の老人保健施設を持っている病院に入院する際には、そのまま老人保健施設に入所する流れがあるかもしれないと期待することもできます。

 

単独型の老人保健施設の特徴(売りポイント)については、次回ご紹介致します。