老人ホーム選び ~ 医療行為 番外編① ~

 介護保険制度はなぜできたのかというと、日本の少子高齢化社会を支える為に導入したというのが答えです。

介護保険制度という法律を2000年から施行したのは、当時団塊の世代が75歳以上(後期高齢者)になる頃(2025年くらい)、老人介護を支える事が困難になると予測されたからです。

 

2025年、戦後まもなくベビーブームが起こり日本では子供がたくさん生まれました。社会は経済が発展すると赤ちゃんが生まれにくくなる傾向が強くなります。

日本は急激な経済成長と共に、年を追うごとに赤ちゃんが生まれる人数が減っていきました。有効な策を見いだせないまま現在に至ります。

戦後間もなく生まれた大勢の人たちが、概ね75歳以上になるのが2025年頃なのです。それに加えて、若者が減っていますから高齢者を支えるだけの若者たちの税収が見込みにくくなり、日本の財政が厳しくなる。これがいわゆる【2025年問題】といわれています。

 

この問題に切り込む為に生まれたのが介護保険制度です。介護への参入するハードルを下げ、民間会社採算がとれるように政府は税金を投入しました。

介護保険料という名目で40歳以上の国民から税金(保険料)をとって、介護保険料の一部分を参入した民間会社にも支払うという制度を構築しました。いわゆる【疑似市場】と言われています。

本物の市場ではなく、行政が介護保険料を投入した箱庭のような統制された市場を開設しました。企業に対する市場参入のアピールポイントは高齢化社会の中で安定収入が得られる業態に参入しませんか。という内容です。

 

この餌に食いつき沢山の民間業者が福祉の世界に参入してきました。特に高齢者福祉の分野はこれから伸びるというイメージがついたので、イメージ戦略は行政の圧勝です。

介護保険が施行された時のキャッチフレーズは、【措置から契約の時代へ】【介護保険の導入によりマンパワー解消へ】と代替的に広告と教育がなされました。

【措置から契約】へは、利用者の権利意識を向上させ若干効果がありましたが、【マンパワー解消へ】は今も同じ問題を抱えています。

マンパワー解消】がなされないと、十分な事業所数が確保できずサービスを選択できる幅が小さくなりますので、利用者のよりよい権利確保にはつながりません。

事実、地域の介護力が低く、把握されないところで●んでいる高齢者の方は今もたくさんいます。

この方たちは、介護保険が未熟だから●んだのだという声はあがらないのが現状です。だれも、目の前の人が●んだとしても、日本の介護保険制度が当初のキャッチフレーズ通りマンパワーが解消されていれば●ぬことはなかった。と発想する人がいないです。

人には寿命があり、それはいずれ尽きる。高齢になるとそういう日がくる。と納得する人がほとんどです。

 

介護保険制度の発足のお題目、マンパワーの解消(介護人材の充足)が達成されていないからだなんて声をあげる人は見たことがないです。

ただ、現実として、介護人材は充足したと聞いたことがないです。

逆に、介護は3K(きつい・きたない・給料安い)職場で人が集まらないという認識が浸透するばかりだと思います。

3Kとはもともと看護師のきつい・きたない・きけんを指す言葉だったのですが、介護職のことに上手くスライドしました。

 

このような環境の中、これから儲かるという企業側の思惑で福祉施設が乱立する一方、福祉施設で働く人はより少なく薄まっていくという現象が定着しました。

その中でどのような管理者がうまれたか次回寄稿致します。